CRAFT — 職人技の物語

The Art of Gates

門の芸術

日本庭園における門は、単なる出入口ではありません。それは俗世と聖域、日常と非日常を分かつ、目に見えない結界の象徴です。一歩をくぐるごとに、訪れる者の心は少しずつ静けさへと近づいていきます。

京都・嵐山の工房で、私たちは一枚の板、一本の柱と向き合う時間を大切にしています。木材は乾燥に数年を要し、木目の流れを読み、季節による伸縮までも計算に入れながら、鑿(のみ)一本で形を起こしていきます。機械では再現できない、手のぬくもりが宿る仕事です。

黄昏時の木の門

黄昏時の木の門 — Wooden Gate at Twilight

黄昏どきに佇む門は、昼と夜、光と影の境界にも重なります。訪れる人はその佇まいに、時間そのものが緩やかに流れていることを感じるでしょう。私たちが目指すのは、そうした「間(あいだ)」の感覚を空間に宿すことです。

門の意匠には、屋根の反り、格子の間隔、金具の配置に至るまで、施主の暮らしと庭の性格を反映させます。同じ門はひとつとして存在しません。それぞれの土地の光と風を受け止める、唯一無二の姿がそこにあります。

何十年という歳月を経てなお美しく朽ちていく木の門は、完成した瞬間がゴールではなく、時とともに育っていく存在です。私たちはその変化さえも設計に織り込み、住まう人と庭が共に年を重ねていけるよう願いを込めています。

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